日本消化器外科学会雑誌
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生検にて術前診断しえた肺癌膵転移の1切除例
北郷 実相浦 浩一若林 剛鈴木 慶一星本 相淳橋本 健夫寺山 清美亀山 香織向井 万起男北島 政樹
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2002 年 35 巻 4 号 p. 398-402

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抄録

症例は56歳の男性. 平成11年6月右肺癌にて開胸右肺上中葉切除, 壁側胸膜合併切除術を施行し, 術後放射線療法 (50Gy) を行った. 術後6か月頃より左手握力の低下を認め, 頭部MRI検査にて脳腫瘍が疑われ, 平成12年1月開頭腫瘍摘出術を施行し, 肺癌の脳転移と診断された. 同時期より腹部CTにて膵尾部に腫瘤が認められ, その後徐々に増大してきたため当科に紹介された. ERP下生検を施行したところ肺癌の膵転移が疑われ, 同年10月膵体尾部切除術を施行した. 病理所見で肺癌の組織所見と一致し, 肺癌からの転移性膵腫瘍と診断された. 転移性膵腫瘍と原発性膵腫瘍の鑑別は画像検査だけでは困難で, 既往歴を念頭に置き, ERP下生検または術中病理検査を併用した総合的な診断が必要と思われた. 治療方針として原発巣が制御され, 遠隔転移も限局し切除により制御しえると判断されれば, 積極的な外科的切除の適応になると考えられた.

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