日本総合健診医学会第45回大会において、日本抗加齢医学会との共催により、「健診・人間ドックは加齢性リスクに挑めるか!?」というテーマでシンポジウムが行われた。日本総合健診学会と日本抗加齢医学会の各学会を代表とする演者により、総合健診と抗加齢ドックの両者の観点から、健康寿命を延ばし「サクセスフル・エイジング」を実現するための、加齢性リスクに挑戦する最新の知見が紹介された。
超高齢社会を迎えている現在、健診・人間ドックの場においても、加齢性リスクを評価して予防・軽減につなげる「一次予防」の必要性が高まってきている。血管、ホルモンレベル、酸化ストレス、体組成など早期に加齢性変化を発見できる検査を従来の人間ドックに加えて行い、抗加齢医学の専門家がアドバイスを行う、いわゆる「抗加齢ドック」を提供する施設も増えており、その知見が集積されてきている。
2006年6月の開設以来、東海大学医学部付属東京病院の抗加齢ドックの受診者は1,900人に達している。抗加齢ドック10回連続受診者の経年齢変化の検討から、DHEA-Sやアディポネクチンなどの加齢性変化が不変または改善する例が認められた。また、BMIが正常域にあっても体脂肪率が高い「かくれ肥満」では、加齢に伴う筋肉量の減少が様々な生活習慣病関連因子の異常を招き、肥満者と同等レベルに悪化していることが判明した。これらは指導の妥当性と進む方向性を表すものとして貴重な成果であり、健診・人間ドックは加齢性リスクに挑めることを証明する成果と考えている。