室内環境
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原著論文
新たに開発した小型ホルムアルデヒドモニタリング装置を用いた室内空気モニタリング
丸尾 容子中村 二朗
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2010 年 13 巻 2 号 p. 163-172

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抄録

小型のホルムアルデヒドモニタリング装置を開発し,室内空気のモニタリングを行った。既に開発しているホルムアルデヒド検知素子において,β-ジケトンがホルムアルデヒドと反応して生成する黄色のルチジン誘導体はβ-ジケトンとして1-フェニル-1,3-ブタンジオンを用いた場合,多孔質ガラス中のみで安定である。そこで検知素子のルチジン誘導体による着色の差分を一定時間毎に計測し, 平均ホルムアルデヒド濃度に換算出来る装置を作製した。装置は光源としてLED,検出器としてフォトダイオードを含み,10cm×10cm×4cmの小型サイズであるため住居内の任意の場所への設置が可能であった。また室内空気への暴露時には吸引ポンプを用いないため閉空間でのモニタリングが可能であった。ホルムアルデヒドの検出下限値は1時間暴露で5ppbであった。出力値が測定濃度の90%に達するのに要する時間は1時間以内であることが見積もられた。
この装置を住空間に設置してホルムアルデヒド濃度の変化を1時間毎にモニタリングしたところ,家具を設置した住環境では高濃度状態が測定され,また換気を行っても再びの部屋の密閉により数時間で高濃度状態に再び戻ることが測定された。開発した装置は小型で使用方法が簡単なため,複数の家庭でホルムアルデヒド濃度の連続測定に成功した。

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© 2010 一般社団法人 室内環境学会
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