脳神経外科ジャーナル
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悪性脳腫瘍に対する最新放射線治療とその成績 : 放射線治療における外科治療の役割(<特集>悪性グリオーマ治療の進歩)
宮武 伸一
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2010 年 19 巻 12 号 p. 899-906

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抄録

悪性脳腫瘍,ことにグリオーマに対する放射線治療は標準的治療として,1日1回2Gy,総線量60GyのX線分割照射が確立されている.しかしながら,グリオブラストーマに話を限ると,術後この標準的放射線治療を行っても,生存期間中央値(MST)は12ヵ月であり,夢の新薬といわれたテモゾロミドを併用してもMSTを2.5ヵ月延長するにすぎず,満足すべき状況とはいえないのが現状である.第30回日本脳神経外科コングレス総会PS1-1「悪性グリオーマ治療の進歩」では,最新の放射線治療として,陽子線,炭素線などの粒子線治療の特徴と適応ならびに腫瘍選択的粒子線治療であるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の特徴と治療成績,ならびに放射線壊死の治療について紹介を行った.またコングレス総会では「放射線治療における外科治療の役割」という副題をいただいたので,BNCTを前提とした手術の工夫および放射線壊死に対する外科治療を紹介した.本稿では,限られた誌面の都合もあり,BNCTをmainに紹介し,放射線治療における外科治療の役割を述べる.

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© 2010 日本脳神経外科コングレス
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